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第4章 case2 【貴方ガ欲シイ】 2

校門から一歩、外に踏み出した時、ピリッと電流が走った気がするけど、

それ以外は何事も無く、無事に家に着いて、

捕まって、振り回されて、居なきゃいけないと思い込んでいたあの期間は何だったんだろ?なんて自問自答しつつ・・・。

目の前の仏壇に手を合わせる。いるのは、母、だ。

「遅いお帰りだな?」

と、後ろからからかう様な口調で話す父は、この家と目と鼻の先にあるこじんまりとした神社にて、神職についている。

今はラフな私腹を着ているけど。

「色々あってね」

「色々は、聞かないでおいた方が良いかな?」

「・・・出来れば」

というか、言い様が無い。言っても絵空事に近い。逆の立場で聞かされても、信じがたい。

「・・・今は急を要する様でもないから、目を瞑ることにしますか」

何かしら、悟ってはいるらしい。父はその辺、実は鋭い。神職についているからか、元来の素質か。でも聞かずにいてくれるのは、今は有り難かった。

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