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第4章 case2 【貴方ガ欲シイ】 2

「心底困ったら、手を出すとして・・・」

困ったら何か言いなさい、というのが普通の親な気がするけど、手を出すって・・・何?

「まだ、大丈夫」

「用心しなさい。これを」

・・・見た目は普通の小さなお守り。それが普通か普通じゃないかは、私に見破る術はない。

「ありがと」

親心は素直に受け取っておく事にした。

母が亡くなったのは、小学生の時。でも亡くなった時の記憶はごっそり抜けおちている。

知っているはずの父は、何も話さない。聡い父だから、何かあるのだろう。それ以上追及はしたことが無い。

いつか、追求してみようかなと思ったりはしている。・・・話してくれるかどうかは、別にして。


ピンポーン


会話の合間に、チャイムが鳴り、父がインターフォンと向き合った。

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