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第24章 case10 【私ハ貴方ノ手ヲ握ッテ】 1

「親の転勤で、転校って話。忙しないよな、アイツ」

校内では、そういう話になっているらしい・・・。知らなければ『転校したんだね』ぐらいの無邪気な気持ち程度の・・・。

「ま、居なくなってくれて、確実に次期理事長って椅子も確約された気がして、ホッとしてるけど」

女遊びが激しく、優等生では無かった彼が、次期理事長になりたかったとは、ちょっと驚きで、

「・・・次期理事長になりたかったんですか?」

聞いてみる、と。

「厳密にいえば『理事長になりたい』というよりは、

『あの家から逃げ出したい』ってヤツだな」と言う。

「俺の家、医者一家だろ。当然医者を目指すべき、となる訳だ。それ以外のレールから外れようものなら・・・」

「なら?」

「というか、レールの上を歩いて当たり前、ってヤツでさ。抑えつけられてたけど、馬鹿馬鹿しくなって、あれこれ反抗したけど、ムダで」

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