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第24章 case10 【私ハ貴方ノ手ヲ握ッテ】 1

今目の前にいる斎は良くしゃべっている気がした。興奮しているのかも知れない。

『私に言えない様な事』というのは、多分黒田生徒会長の時の様な事だろうな・・・。

と解るものの、今、斎に対する恐怖心は、無かった。

あの時(監禁前)の恐怖は、均さんとの関係が見つかる事の怖さだったりしたから。

・・・あれは、浮気、だよねえ・・・。

「絢乃?」

斎の方を見ていながら、色々思案していたから、斎は訝しがった、らしい。

大丈夫、とにっこり笑い返す。

「新年は、私のお父さんにも会ってね」

・・・彼氏、って紹介するのだろうか?とふと思う。ヒトでは無いけど。何だか変な感じだけど。

均さんは嫌がるかな。斎が私の家にいるのは。

今までは想像つかなかった事を想像してみる。その想像は斎の自由を手に入れた後の楽しい想像で、

物事には、成功もあれば失敗もある、という事を失念していたのだった。

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