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第24章 case10 【私ハ貴方ノ手ヲ握ッテ】 1

「出る、って?」

「檻を壊す。漸くメドがついた。邪魔する奴らは校内に数名いるけど、出し抜ける」

部屋に入り、抱き締められる。

「檻を壊せば、縛られるものは何も無い。絢乃を無理矢理ここに縛り付ける理由もない」

抱き締められている腕に力が少しずつ強まる。決意が、私を抱きしめる力と比例している。

「・・・諦めた事もあった。投げやりになったこともあった。でも・・・」

「でも?」

「絢乃を囲い、この屋敷に縛り付けられれば、それなりに楽しくはあるけど、

あの目障りな一族から狙われ続けるのはもう、うんざりだ。そろそろ自由が欲しい」

顔を上げれば、私を見下ろす斎の眼は、期待でキラキラしている。

「ここまでくるのに相当な犠牲は払った。絢乃に言えない様な事も、一杯している。

多分、あの一族は永久につきまとう。それでも、思い通りにここに留まる理由はない。

そして、絢乃は、俺の傍にいてもらうから」

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