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第25章 case10 【私ハ貴方ノ手ヲ握ッテ】 2

---的場side---

外に出ると、小雨が降っていた。が、それを上回る唸る風と、荒ぶる雷。

雷が落ちたらしい方向に進むと、パチパチという音が耳に届く。

見渡す限りの場所全てが停電している筈なのに、1ヶ所明るい場所がある。

そこを目指して・・・歩くと。

「・・・これは」

燃えていたのは桜の樹だった。ただ、燃え方が激しい。桜の樹全体が火だるま・・・。

「これは良くない・・・」

桜の樹を倒す計画は、あった。この桜の樹は、斎の力の源を封印した樹であるらしく、

脱出の際は、この樹を枯らす手筈はあった。

ただ、燃やすという話は聞いていない。

燃えたら、拙くはないだろうか?

斎に指示を仰ぐ暇は無さそう。と判断して、近くの庭の水道の水をひねり、ホースで消火しようと、

ホースを伸ばし、桜の樹に当てようとするが、水は一向にホースから飛び出さない。

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