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第25章 case10 【私ハ貴方ノ手ヲ握ッテ】 2

「ホースが抜けたか」

迷っている暇はない。燃やしてはならない気がする。気が付けば、桜の木を囲っていた気の柵まで、火だるまだ。

「水を」
「必要ねえだろ」

独り言に反応が返った。声がする方を向くと、均が立っている。

「斎の封印は壊せねえし、力も破壊する」

「・・・アンタ」

「斎の封印された力が、桜の樹の下で消滅するのを防ぐ為に、大量の人間の血を桜の木の根元に吸わせていたのは知ってる。

樹の柵を作らせ、内側には大量の灯油と、斎の力を拡散させるための仕掛けを大量に施した。

斎は力を取り戻すことは出来ねえし、ここから出る事も叶わねえ」

均の言葉に呼応するかの様に、さっきよりも高く、火柱が上がる。

「アンタは、敵か?」

「お前は正しく理解しねえな。何時まで経っても。

そんな単純なものじゃねえよ。お前の行動理由が斎であるように、

俺の行動理由は絢乃。それだけの事って何度言ったら理解する?」

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