テキストサイズ

contract

第25章 case10 【私ハ貴方ノ手ヲ握ッテ】 2

短剣と短剣が、擦れてギリギリと音を立てる。力が強い。ヘラヘラしているだけの男ではない、とはっきり解る。

「頭は回るだろうが、戦闘能力はねえだろ?外に出られる一族ってのは、それなりの力がないと、出して貰えねえの。

ましてや、好き勝手しようと思えば、それなりに動かねえとならねえ。

お前は、俺には勝てない」

「う、煩いッ」

「遊んでやってる暇はねえ。・・・死にな」

言うと同時に、蹴られ、身体が吹っ飛ばされるッ。

「うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁッ!!」

蹴られた先は燃え盛る樹に背中を打ち付け、一気に火が燃え広がる。

「おのれぇッッ」

そう叫ぶのが精一杯。自分の身体が燃え広がるのを・・・止めることは出来ず、崩れ落ちる。

永依に、斎様に、知らせないと・・・・・・・。

「呪詛ぐらいは聞いてやる。最期だしな」

この世で最後に耳にした言葉は、憎んでも憎み切れない男の声で、

後は何もかも解らなくなった・・・。

---的場side 終了---

ストーリーメニュー

TOPTOPへ