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第25章 case10 【私ハ貴方ノ手ヲ握ッテ】 2

「お前、藤沢絢乃・・・」

酷く狼狽えた声が耳に届く。目を開けると、暗闇に慣れていた眩しさは消えていた。

・・・で、誰だっけ?

改めて男を見る。私服の男。背中に、武骨な刀を背負っていなければ、普通の人に見えるのに。

どう見ても、同級生ぐらい。年下には見えない。年上であったとしても、1歳か2歳程度の差・・・。

って、この人何処かで見た事・・・。

「あっ!!」

「何だ」

「“カナメチャン“・・・」

口に出した後、しまった、と思う。思わず手で口を覆う。

否、もう口から出ちゃったものは・・・訂正しようがないのだけど。

男が“チャン“付けを喜ぶ筈が・・・・・・。

「均のやろー・・・」

苦味潰した様な、とっても嫌そうな顔で、目の前の男は呟いた。

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