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第25章 case10 【私ハ貴方ノ手ヲ握ッテ】 2

愛・・・されてる・・・?

奪う、とは言われたと思う。斎から奪うと。

アレは、冗談じゃ、無かった・・・?

違う。

多分、私が冗談にしておきたいと思った。フラフラ揺れるのはどうかと思ったから。

斎の方の手を取れば正解だと思ったから。

・・・間違ったのかな。

「しかし、あのバケモノにここがばれるのは拙い。髪の毛をくれ。屋敷にばら撒いて気配を散らせる」

と言うと『はい』も『いいえ』も言わせないまま、私の後ろの髪を切った。

・・・どうやって、切ったの。はさみも無いのに?という問いを私が放つ前に。

「じゃ、警告」

人差し指を指し、私に告げる。

「均が迎えに来るまで、ここから出るな。出れば、次は・・・切る、からな」

チャリと、音をさせたのは、背中の刀。警告を発し終えると、

私の返答も聞かずに、パタンッと目の前のドアを閉め、消えた。

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