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第26章 case10 【私ハ貴方ノ手ヲ握ッテ】 3

キラキラは少しずつ斎を覆い、最初キラキラが始まった足先から・・・。

斎が、消えて、いく・・・。

「待って、いかないで!!」

思わず、手を握る。脳裏に過るのは、数年前の母の死別。あの時も手を握って、最期のお別れを・・・したけれど。

斎は存在していた身体すら、残すことは出来ない・・・の?

「まだ、何も言えてないのに!!」

覆うキラキラは、顔と握っている片方の手を残し、少しずつでも確実に、存在が消えていく。

斎の顔は・・・穏やかで、私は何も、言えなくなる。喉の奥がひりひりして、泣きたいけど、泣きたくなくて、つらい。

そんな斎の顔も少しずつ、キラキラして消えていく。残されたのは握っている手で。

ギュッと力を入れて捕まえるも、少しずつ、感触が無くなって、いく。キラキラ光り出して。

屋敷の廊下で、窓も開いていないのに、風が吹く。やわらかくて、暖かい風が、一度だけ。

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