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第4章 case2 【貴方ガ欲シイ】 2

斎の思い通りに事が運ぶのがどうしても嫌で、8月を実家で過ごした。

斎の指示で的場君が飲み込ませた何かによって、身体の変調が起こる可能性もあったけど、何事も無かった。

ただ、全く斎の事を忘れるというのは無理で、特に飲み込ませた何かが気になって気になって気になって・・・実は斎の事を考えなかった日は一度も無い。

常に思考が囚われていた。もしかしたら、それが目的だったのか知れない。

と思うと腹が立つ。けど、それすら斎の策略かも、と堂々巡り。

こうなったら意地でも会わないっと決め、戻ったのは8月31日の夜。

寮のドアを開けると、勝手に屋敷に通じず、元々の部屋のままだった。構えていた分だけちょっと拍子抜け。でも会わないって決めてるから、これでいい。

久しぶりに他の寮の子と会っておしゃべりして、普通の学生生活の感覚を取り戻して、斎とか的場君とかの話は何かの間違いだったのかもと思い直して、気が付けば10時で。

明日から学校だし、移動とか気を張っていた分だけ、いつもより睡魔が早めに襲い、寝たいと部屋に戻って、機嫌よくベッドにダイブした時だった。

・・・一気に部屋の景色が変わったのは。

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