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第27章 エピローグ

「君にはつらいことだろうけれど、俺は感謝してもし足りない。

紗香に対しても、子供に対しても、今は情はあるしね」

といって、渡される小箱。

「じゃ、元気で」

そう言って、手を振り遠ざかる落合先輩の笑顔が少し、羨ましく思う。

吹っ切れたような笑顔が羨ましい。

残された、小箱。

開けると、中は桜をモチーフにした、少しピンクがかった色合いの・・・シルバーネックレス、

と、メモ程度の紙。開くと、

『メリークリスマス 絢乃』

って・・・。

「クリスマスとか誕生日とか、そんなこと斎は1度もした事無かったのにッ!!」

そんなものは斎にとっては無縁だった筈なのに。

ぽたぽた、と流れ落ちる涙。

漸く、私は純粋に、斎の死を悲しんで

・・・泣く事が出来たのだった。

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