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第2章 case1 【貴方ハ誰?】

・・・夕方。

一番奥にある資料棟の中の第2図書室のドアを開けると、古い本の独特の匂いが、私を出迎えた。

寮生活は楽しくもあるが、暇でもある。友達と話すのも悪くはないが、のんびりぼーっとしたい時の手段が、本、というワケ。

図書室は結構広さがあり、大きく分けて2つに区切られていて、

1つは手前に第1図書室。ある娯楽的な雑誌や最新の小説、珍しい事にマンガもある。そして机に椅子も結構な量があるので、ここに集う人は多い。

そして奥にあるのは、古い資料や地図、古典的な本が多い第2図書室。椅子すらこの部屋には無く、うすら寒い雰囲気もあるので、人の出入りはほぼ無いと言っていい。

第1図書室は図書委員が、きちんと本の整理や貸し借りチェック等をしっかりやっているけど、

第2図書室の本はよっぽどでない限り借りる人はいない。だから全て自分自身がしなきゃならない。

借りた本を返して、隣の本を借りようと手を伸ばした時だった。

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