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第5章 case3 【貴方ニ効果的ナ"復シュウ"ヲ】 1

満足した斎がようやく唇を離すと、ぼーっとしつつ的場君のいた方向に目をやったけど、的場君は既にいなかった。

・・・相変わらず、酸素が足りない。今回、気絶するまでは無かったけど。

「あまり抵抗しないな。もしかして言葉とは裏腹に仕込まれたいとか?」

「・・・ち、違ッ」

抵抗する力が戻らないまま、再度重なる唇。

「・んっっ」

「声が甘いんだって」

「だからッ」

「欲しいでしょ?素直にいえばいくらでもあげるのに」

翻弄されていく。

唇に重なる柔らかい毒と、唇から零れる言葉の毒と、身体に回る逃れられない腕と、冷たく感じる指に。

「・・・ゃ・・・んっ」

糖度が増える声とともに、視界が暗くなっていく・・・。

それは自ら瞼を閉じたから、なのだけど、自覚しないまま、唇を合わせ続けた。

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