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温もり

第7章 三日目

 ラディが食事を運びに来ると、零九は檻の中でぐったりと倒れていた。

「零九? 食事を持って来たわよ」

 声をかけるが、目を覚まさない事は彼女には判っていた。
 零九の怪我は更に増え、服は血塗れで肌に張り付いているのが判る。床には引きずった跡があり、髪も落ちている事から、頭を掴まれて引きずり回されたらしい事が窺える。

「零九! 起きなさい!」

 ラディは声を上げるが、彼はピクリとも反応しない。熟睡しているのではなく、完全に気を失っているのだろう。

 起きる気配のない彼を見て、彼女はトレイごと檻のそばに置く。目を覚ませば食べられる所に。
 それは、優しさではない。
 食べる事で生きながらえさせるためだ。それは研究員達も理解しているので、彼が水を求めれば与えていた。

「零九、生きなさい。最愛の妹が待ってるわよ」

 彼女は呟き、糞尿の臭い漂う部屋から出た。彼が言わなければ、処理するつもりはない。

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