
いつもそこには、君がいて
第1章 1 月曜日
「フジコちゃ〜ん!!、これ、本部から来てたよ。じゃ、お疲れさん」
いつだってにこやかな副店長は、A4の薄っぺらな茶封筒を事務所の机に座る私の目の前にひらりと置くと、後ろ向きで手を振って事務所を後にした。
「あ、お疲れ様でした」
緑色のブルゾンを着たまま帰っていく副店長の背中は、うらやましいくらいに元気そう。
その背中にてらてらと張り付いた、「Bic Mart」という店の名前の黄色い文字がやけに似合う。
私が働く「Bic Mart」は、食品小売業、いわゆる“スーパー”を展開する県内最大手の会社。
ここ、樋口北店では毎週月曜日の夜に、青果、鮮魚、精肉、惣菜、グロサリー等々各部門のマネージャーを集めて会議が行われる。
毎回それが終わるのは、閉店も近い夜8時半を過ぎるあたりで、今日も結局残業だ。
「フジコちゃん、僕も先に帰るから。お疲れ様」
「あ、はい、お疲れ様でした……」
ふぅっとため息をついたところに、隣席のマネージャーに声をかけられ、私もすぐに席を立った。
