いつもそこには、君がいて
第1章 1 月曜日
バックヤードへと向かって歩きながら、封筒の中の書類に目を通す。
やっぱり……
そこには来月2月末の人事異動の部門内示が記されていて、そこには私の名前もあった。
・峰 沙織
旧:樋口北店
精肉部門マネージャー
新:本部 広報室
でも、この紙には今まで何度も見てきたそれとは違う点がひとつ。
「広報室か……」
なんの感慨もなく、乾いたようにつぶやいてみる。
大卒から10年あまり、精肉部門一本でやってきたが、ここに来て配置転換。
全く畑違いの部署への異動の内示だった。
とは言え、不意を突かれたわけじゃない。
この異動の話は事前に私に打診されたもので、“他部署へ”というのも私自身の希望ではあったのだが、こうしてそれが現実になると、なんとなくぽっかり胸に穴があく感覚がある。
私のこの10年は、結局なんだったんだろう。
そんな、ちょっとした虚しさ……