いつもそこには、君がいて
第2章 2 水曜日
顔も胸も熱くてたまらないのに、こんなに苦しいのはなんでだろう?
そんな私の網膜には、“居なくなる”と言った福田さんのあの表情が張り付いたままだった。
この胸の高鳴りはきっと嬉しさなんかとは全然違う。
得体のしれない強い鼓動に促され、夜空を見上げて一呼吸。
そこにはあの円い月がある。
あ。
そう、月が……
この胸の高鳴りは、当たり前にそこにあるはずの月が消えてしまうような不安感。
一日置きに福田さんに会えることが、いつの間にか私の当たり前になっていて。
居なくなるなんて少しも考えていなかった。
福田さん?
走り出した営業車のバックミラーに映った私は、どんな顔をしていましたか?
「笑っててほしい」って……
今は無理みたいです。
笑えませんよ、福田さん。