いつもそこには、君がいて
第2章 2 水曜日
「あの、返事とかそういうのはどうでもいいんです。ただ勝手に伝えたかっただけですから」
「でも……」
「すみません。困らせるような真似しちゃって」
「いや、あの……」
「あさってと来週の月曜の2回で、俺の巡回は終わりです。今までほんと、ありがとうございました。さ、もう車に入らないと風邪ひきますよ。お疲れ様でした」
相手の言葉の切れ目に最後までまごついた私は、まるで息継ぎが下手くそな魚みたい。
福田さんはペコッと頭をさげて、営業車まで小走りで駆けていき、結局なにひとつちゃんと話せないままの私が、一昨日とは反対に取り残されてしまった。
エンジンをかけると、暖気もせずに出発した福田さん。
その車をボーッとしたまんま見送って、それでもまだ私は動けないでそこに立ちすくむしかできないでいた。