いつもそこには、君がいて
第3章 3 金曜日
「あれ以来、酒で寝たりつぶれたりしたお前を送るのは、全部福田ちゃんにまかせて……」
「えーっ、うそ」
「ほんと。だからお前の酒ぐせの悪さも、つぶれたひでぇツラもぜーんぶ福田ちゃんは知ってんの!」
……恥ずかしい、恥ずかしすぎる。
「ははは。お前、今更恥ずかしくなってんだろ?」
「……はい」
「俺もさ、“こんなんでいいの?”って何回も福田ちゃんに聞いたんだけど、それがいいんだってさ。もの好きもいるもんだよなぁ」
もの好き……
自分でもそう思う。
素直じゃなくて、意地っぱりで、格好にだって気を遣わない半分ヒモノと化してる三十路の女を、好きだと言えるんだから、福田さんは相当なもの好きだ。
「昨日もさ、俺のとこに異動の挨拶に来たって言いながら、あいつ、お前のことばっかり喋ってくんだよ」
「私のこと?」
「異動絡みで元気がない、心配だって。助けてあげてくれって頭下げてさ」
なんで、そこまで……
ふと、一昨日のあの「居なくなる」と言った時の福田さんの顔が頭をよぎった。