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完熟の森

第16章 別れと始まり

「俺みたいな子供でも?」


「子供じゃないんでしょ。大人でもなく…男なんでしょ」


雫は僕の両頬を掴んで僕を見た。


雫の瞳にまた僕が映っていた。


雫が優しく唇を寄せてくれた。


とうとう雫への密かな想いが一気に広がった。


僕の手から菜箸がポロリと落ちて雫を抱き締めた。


雫は熱く深く口付けてきたから僕の体が熱くなって、あっという間に僕の心が雫で埋め尽くされた。


溢れる想いが腕にこもり強く抱き締め、
勢い余って落ち葉の中に倒れ込んだ。


すると唇を離して、「秋刀魚焦げちゃう」と言ってまた笑った。


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