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完熟の森

第18章 溺れる

その日の昼休みの事だ。


富岡が僕にバツが悪そうな顔で近寄ってきた。


「新堂、悪かったな」


そう言いながら、勝利者の顔で僕を見た。


「構わないよ。
理音を100%好きになれなかった俺のせいだ。
富岡は彼女だけを見てやってくれ」


正直な気持ちを富岡に話した。


僕は今、身も心も満たされて、怒りや悲しみなんて感情はなく穏やかなのだ。


「ああ、分かってる」


富岡は少し拍子抜けした表情で去って行った。


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