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完熟の森

第20章 恋人 1

「千晶、ありがとう」


雫は、はにかんだ顔で僕を見た。


「雫、本当の事だ。俺は雫だけを大切に思ってる」


雫の目がちょっと潤んでた。


僕が雫を覗き込んで微笑んだら雫も微笑んでくれた。


嬉しかった。


ちゃんと雫に言えた事。


喜んでくれた事。


だからうっかり手にしたグラスの酒を飲み干してしまった。


しかし酔う程ではなく、ちょっと体が火照る程度だった。


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