テキストサイズ

完熟の森

第26章 雫と家族と僕

「父さんの若い頃思い出す。やっぱりお前と同じ年だったな」


父さんは懐かしそうな目をして、また煙草を吸った。


「父さんの若い頃に何があったの?」


「まあ、同じような事だ」


「父さんはどうしたの?」


「駆け落ちしたよ」


まじかよ!?


僕より上手(ウワテ)じゃないか?


「で、どうなったの?」


「どうなったって暫く一緒に暮らして別れたさ。
でなきゃ、千晶も美梨もいないだろう」


「そうだよな」


「でも、真剣だったよ。後悔はしてないし、父さんにとっては大きな成長になった」


そう言ってまた煙草を吸って、消した。


ストーリーメニュー

TOPTOPへ