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完熟の森

第32章 祭り 1

「いや、いいよ。恥ずかしいし」


僕が断ると、雫はみるみる不機嫌になった。


「せっかく千晶の為に作らせたのに…」


雫が顔を背け、ソファーに腰掛けた。


雫が怒っているのに、その姿が色っぽいと思った僕は不謹慎だ。


で、つい言ってしまった。


「そうだったんだ。なら着るよ」


雫は振り向き明るい顔になった。


僕はのろのろ服を脱いで、雫は真新しい、グレーっぽい浴衣を僕に着せた。


雫は終始ニコニコしていた。


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