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完熟の森

第32章 祭り 1

「なんか久しぶりだな」


とりあえず、挨拶した。


理音は一度雫を見てからまた僕を見た。


理音は去年僕が脱がせた浴衣を着ていた。


去年の理音がフラッシュバックして、この日の理音はへのへのもへじには見えなかった。


理音は一歩僕に近づいた。


「千晶、カッコイイね」


富岡と雫の前なのに、理音は上目遣いで僕を見た。


ちょっとドキッとした瞬間、雫が僕の腕をギュッと掴んで、ビクッとした。


僕は理音に何も言わず、富岡の方を向いて「じゃあ」と言い、理音を避けて歩き出した。


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