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完熟の森

第39章 甘える雫

いつものように雫の髪を洗ってやる。


「凄く気持ちいい。千晶、ありがとう」


「どういたしまして」


と素直に答えたが、髪を洗ってありがとうと言われたのは、初めてだった。


浴槽で僕の背中に寄りかかり、僕を見上げ雫の手が僕の頬を撫で愛おしく見つめた。


「千晶、好きよ」


どうしたんだ、雫。


やけに素直過ぎて驚いた。


でも僕は嬉しくて浮かれた。


素直に喜んでいた。


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