ガーディスト~君ヲ守ル~
第3章 恋の予感
200メートルほど走った所で、祐司は一件の平屋の前で止まった。
前日訪れた、つぐみの家だ。
「カギは?」
「…家っ…知ってたんだ?」
『つばき』は呼吸を整えながら言った。
「だから、公園で待ってろって言ったんだね」
祐司は『つばき』とファミレスにいた時に、こうなることを予感していた。
『つばき』はカギを使って、玄関のドアを開ける。
祐司は周りを確認しながら中に入った。
「真っ暗だな、両親は?」
「あ、お母さんと2人暮らしみたい。お母さんは看護師やってて夜勤でいつもいないみたいなの」
そう言いながら、『つばき』は電気をつけた。
玄関がパッと明るくなる。
祐司は、『つばき』の顔を見た。
「…泣いたのか?」
「え?」
『つばき』は玄関の壁にかけてある鏡を見た。
目が腫れている…
「これはあたしじゃない…つぐみさんだよ」
「そうか…」
「つぐみさん、あたしのせいで苦しんでるんだね…」
「…」
「やっぱり除霊してもらったほうが…」
「除霊したらお前は浮遊霊になる。記憶がないままな。俺のことも忘れてしまうかもしれない。そのまま浮遊霊になって永遠にさまようことになるかもしれない…」
『つばき』はごくっと固唾をのんだ。
「だから…今、東さんの体にいるうちに、お前を助けてやりたいんだ」
「ゆーじ…」
「俺が必ず『つばき』の体を探してやる」
祐司は真っ直ぐに『つばき』を見た。
(そんな真剣な顔されたら…
ドキドキしちゃうよ……)
胸の奥がキュンとした。
「あ、えっと…上がってく?」
ドキドキを気づかれないように、『つばき』は話題をそらす。
「いや、いい。俺はもう帰るから…ちゃんと戸締まりしとけよ?」
「うん」
『つばき』は祐司を見送った。
(あたし…ゆーじのこと好きになっちゃいそうだよ…)