ガーディスト~君ヲ守ル~
第4章 バイト
祐司が何も言わないことをいいことに、冴子は調子にのって、祐司の首に両腕を回した。
「キスしよっか」
冴子は舌なめずりをした。
「…」
祐司はフッと微笑する。
「…あまり自分を安売りしないでください」
そう言って、首に回った腕を優しく掴み、自分から引き離した。
「せっかく魅力的な女性なんですから」
祐司は冴子に優しく微笑んだ。
冴子は一瞬固まったが、フッと笑った。
「そんな言い方したの、あなたが初めてだわ」
「…」
「ふぅ~ん…気にいったわ」
冴子は獲物を狙うような目つきをした。
その時。突然部屋の扉が開く。
「失礼します、社長っ…あ…」
現れたのは、先ほどロッカー室で会ったメガネの女性だった。
「なによ、ノックもしないで」
冴子は機嫌を悪くする。
「す、すみません…しゃ、社長しかいないと思って…」
おどおどしながら女性は言った。
「あんたって、いっつも私の邪魔をするのね!!」
冴子はきつく女性を睨んだ。
カツカツと歩いて、半分扉を開けて立っている女性の肩にわざと当たり、部屋を出て行った。
取り残された女性は、俯いてブツブツ独り言をいっている。
「大丈夫ですか?」
祐司が声をかけるとハッとして、女性は慌てて部屋を出て行った。