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平和のために

第16章 四神

―――――…


秀一は一連の流れを見ていた


歓喜に沸き上がるグラウンドに
相応しくなく
走っていく二人の様子が
気になって着いてきたのだ






最初こそ出ようと思ったが
紫音から自分の名前が出たこと


が自分を同情と思って
泣いているのを見たら



出にくくなってしまった






それから…彼自身…



が優しさの事で
涙を流すのを見た瞬間

頭がハンパなく痛くなった



今までは小川のように
少しずつと運搬されていた
記憶の断片が

大氾濫によって
押し寄せるような…



そんな気分だった





『シュウ…
もう、全てを
解いてよいのですよ?』


さっきまで孤独で
涙を流していた

自分の幼馴染みが
地面に横たわっている



「…」



『いいえ、私は…先代の
大和大国四季四神の姫君です』



「…やはり、あなたが
ひ…め…様?」



『えぇ…久しぶりです、シュウ

その様子ですと
前から薄々思い出されて
いたのですか?』



「こちらこそお久しぶりに
ございます


そうですね…



最期が最期だったせいか

記憶をしっかり隔てきれず
昔から四神としての
少しずつ記憶が流れ込み


今あなたの涙を見て
記憶の壁に亀裂が入り


あなたに名前を呼ばれて
全てを…思い出しました」



『ふふっ

シュウは相変わらず
モテるのですね?』



「そうでもないですよ

それより姫様…腹部の傷は…」



『結構カッターと言うものを
バカにしてました

こうしてみると
結構深いみたいです



よくも
あれだけ話せたものです』



「見た感じからもう深いのが
伝わってきます

早く治されないと…
の身に…」




『実はさっき
久しぶりに力使って
地味に筋肉痛です…

気の力で彼を呼んだので…
もうすぐ…』

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