平和のために
第1章 キオク
最近は施設を出て
独り暮らしを始めた
私は幼い頃に火事にあった
あの業火は一瞬のうちに
家を飲み込んで全てを
奪っていった
父さん、母さん、
兄さん、双子の姉…
被害は恐ろしく
身元が特定できなかったらしい
奇跡的に助かったらしい
私だけど
そのあと精神的に壊れた
だからその辺の事は
よく覚えてない
お葬式はどうしたのか
とか
どうして施設にいるのかとか
ただひたすら
火を恐れて暮らした
今でも火は怖い
火を見ると
あの日を思い出してしまい
自分でも収集がつかなくなる