添い寝フレンド
第2章 添い寝フレンド(2)
外の世界のざわめきが時間をつなぐ。
ワイングラスの向こうにある歪曲した世界に目がくらんで僕は目を閉じた。
「眠い?」
それを見た彼女が僕を気遣う。
今では聞けない外行きの声で。
-いや、そんなことないよ。
僕だって今なら素直に眠いと言うだろうけど。
テレビは深夜のバラエティから通販番組に変わっていて、司会者が台本通りに外国の商品のPRをしている。
観客がわざとらしく感嘆の声をあげているところで彼女がリモコンに手を伸ばしてテレビの電源を切った。
一瞬の静寂がコントラストとなって耳をつんざく。
彼女の部屋は繁華街のすぐ傍にある。
そのため、テレビを消してカーテンを閉めても外のネオンが部屋をわずかに明るくする。
薄手のカーテンの向こうにある光源を見据えるようにして彼女がつぶやく。
「こうやって電気を消してもこの部屋は明るいままでしょ。
だからアロマキャンドルを点けても外の光に紛れてしまうの。」
ワイングラスのボウルとステムの間くらいを指先でなぞりながら、まるで今の私みたいにね、と付け足して自嘲気味に笑った。
彼女が僕に求めているのは男性的な何かじゃないと気付いて、胸の中で仄かに沸き上がっていた邪な気持ちがスゥッと萎んでいくのがわかった。
欲望に塗れた外の光が彼女の整った顔を照らし、表情の変化を際立たせる。
「そろそろ帰る?」
僕の顔を見ずに彼女は聞いた。
-車で来ているから帰れないよ。
「じゃぁ朝までいようよ。」
大方想像通りのことを言われた僕はためらわずに答えた。
-そうしようか。
僕の返事を聞いて、彼女はグラスに残ったワインを一口で飲みほした。
ワイングラスの向こうにある歪曲した世界に目がくらんで僕は目を閉じた。
「眠い?」
それを見た彼女が僕を気遣う。
今では聞けない外行きの声で。
-いや、そんなことないよ。
僕だって今なら素直に眠いと言うだろうけど。
テレビは深夜のバラエティから通販番組に変わっていて、司会者が台本通りに外国の商品のPRをしている。
観客がわざとらしく感嘆の声をあげているところで彼女がリモコンに手を伸ばしてテレビの電源を切った。
一瞬の静寂がコントラストとなって耳をつんざく。
彼女の部屋は繁華街のすぐ傍にある。
そのため、テレビを消してカーテンを閉めても外のネオンが部屋をわずかに明るくする。
薄手のカーテンの向こうにある光源を見据えるようにして彼女がつぶやく。
「こうやって電気を消してもこの部屋は明るいままでしょ。
だからアロマキャンドルを点けても外の光に紛れてしまうの。」
ワイングラスのボウルとステムの間くらいを指先でなぞりながら、まるで今の私みたいにね、と付け足して自嘲気味に笑った。
彼女が僕に求めているのは男性的な何かじゃないと気付いて、胸の中で仄かに沸き上がっていた邪な気持ちがスゥッと萎んでいくのがわかった。
欲望に塗れた外の光が彼女の整った顔を照らし、表情の変化を際立たせる。
「そろそろ帰る?」
僕の顔を見ずに彼女は聞いた。
-車で来ているから帰れないよ。
「じゃぁ朝までいようよ。」
大方想像通りのことを言われた僕はためらわずに答えた。
-そうしようか。
僕の返事を聞いて、彼女はグラスに残ったワインを一口で飲みほした。