契約彼氏
第2章 *出逢い...
ふたりは何の躊躇いもなく、ホテル街へと入って行く―・・・
悲しみや悔しさよりも怒りの方が大半を占めてる。
彼女と海に行く男が前日に他の女を抱くなんてバカげてる。
1件のラブホテルに入ろうとしたところで美玲は勢いよく駆け出した。
そのまま、ふたりを引き裂くように繋がれた手の間に突っ込んだ。
「っ!?」
「きゃっ」
「・・・これが仕事?」
目の前の美玲を見て、いまだかつてない蒼白で立ち尽くす亮と、状況を全く理解できていない女の子。
「美玲っ・・・」
「最ッ低!!」
状況証拠はある。
もう言い訳なんてできる状況じゃない。
「横田くん・・・
彼女、いたの・・・?」
私なんかよりショックを受けてる彼女は頬に一粒の涙が伝う。
この男、まさか彼女がいないって嘘ついてたわけ?ただの浮気よりもっとタチ悪い。
「も、元カノだよ・・!」
「は?」
「咲ちゃんと付き合うから別れ話したんだけどしつこくて・・・
ちょっと待ってて。ちゃんも話つけるから。」
4年も付き合った私より、たかが出会って数日の子を選ぶわけ?
怒りより絶望感でいっぱいになった私は、近付いてきた亮ちゃんの顔面を思いっきりカバンで殴り付けた。