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「変態、近寄るな。」

第3章 「絢君の過去と秘密」



だって、完全な八つ当たりだよね。

励まそうとしていたわけでしょ?

だから、もう、縁切っちゃえば。



彼女が瞬きする。

少なからず、そのときの俺は軽い気持ちで言っていた。
……彼女にとっては、違ったのに。

「そう、なんでしょうか。
そうしたほうが、いいんでしょうか」

壊れた人形のよう。
虚ろな目はもはや何も映していない。
でも、俺は照れ臭くて、彼女の顔を見ていなかった。

「そうしなよ」



俺はこのあと、軽々しく口にしたこの一言を後悔する。

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