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桜の夢

第11章 黒と水


屋上は誰もいなかった。

青い空に心地よい風が吹いていて、何故人がいないのか不思議なくらいだ。


「気持ちぃ~。いっそのこと、ここで授業サボっちゃおうか!」

「駄目だよ。次は小百合の好きな生物だよ。ちゃんと受けなきゃ」

「は~い。冷静に突っ込まな~い」


私達は青空の下、楽しくお昼ご飯を食べた。

この時だけは、心の中の黒いものも影を潜める。

暗がりにも光は差すんだよね。

その光は小百合から出ている。

小百合は唯一無二の存在だ。

ありがとう、小百合。

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