桜の夢
第11章 黒と水
「なんだ、それ…。どうしたんだよ」
流星の声はどこまでも真剣で、表情を見なくても本当に心配してくれているのが分かる。
「別に何でもない」
「何でもない訳ないだろ!誰にやられた?!」
流星、ごめんね。
心配してくれても、私はもうその優しさに頼ることが出来ない。
悔しさとか悲しさとか寂しさとかが入り交じって、真っ黒になってどうすることも出来ない。
「なぁ、心愛。力になるから話してくれないか?」
そう言って流星は私の肩に手を置いた。
教室がざわついている。
もう限界だった。