桜の夢
第2章 夜桜
「で、進展はあった?」
誠司は目を輝かせて聞いてくる。
ほんとにコイツ、こういう話、好きだな…。
「とりあえず名前を覚えて貰った」
「えっ?!今朝、自己紹介したんじゃないの?!」
「すっかり忘れてたみたいだ」
思い出しただけでちょっと拗ねてしまう。
まあ、あの反応は可愛かったけど。
「はぁ~。流石、心愛ちゃん」
これには誠司も呆れた様子。
「しかし春休みの練習帰りに、偶然好きな子見つけたからってそこで張ってるなんて、面白いな流星!」
「いい加減黙れ!誠司!」
そんな風に俺が赤面する事実を誠司が突き付けつつ、ホームに来た電車に乗って帰宅した。