テキストサイズ

桜の夢

第18章 雨

ピピピピ…ピピピピ…

部屋中に目覚ましが鳴り響く。


「んっ―もぉ、ぁさ…?」


私は布団からはい出して目覚ましを止める。

そして立ち上がり、眠い目を擦りながら窓のカーテンを開けた。


ザァァァァァ………


ガラスに映ったぐちゃぐちゃの顔の向こうは雨だった。

…ほんと、私の心みたい。

昨日はあの後、2時間位泣き続けていた。

なんとか泣き止んでからも、帰る気にはなれずにいた。

そしたら、親から届いたお叱りのメール。

それで渋々帰ったのが昨日である。

だから結局、何も解決していない。

私は流星を傷つけたままだ。


「っつ………」


再び流れ出そうとする涙を、私は必死に堪える。

ここで泣いたって仕方がない。

でもどうしようもなく悲しかった。

ストーリーメニュー

TOPTOPへ