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桜の夢

第19章 優しさ

「ちょっと、東城さん」


船橋さんは厨房から戻ってくるや否や、私を呼んだ。

そして、そのまま裏へと移動する。

裏に着いて誰もいないことを確認すると、私を椅子へ座らせ、自分も座った。


「率直に聞くけど…最近どうしたの?」


私は下を向く。

そんなの、答えられなかった。

プライベートを仕事に持ち込むなんて…流石に私でもいけないことだと分かる。

でも、自分じゃもうどうしようも出来ない。

限界だった。







そんな心の内を読んだかのように、船橋さんは私の頭を撫でる。

最早、驚く元気すらない。

ただただ、その暖かい手が嬉しくて嬉しくて…

いつの間にか私の頬には涙が流れていた。

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