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桜の夢

第19章 優しさ

「お客様!」


誰かが私の隣までかけてきた。

いや、誰かなんて頭を上げなくても分かる。

こういう時に来てくれるのはあの人だ…


「大変申し訳ございませんでした!」


船橋さんは自分の失態ではないにも関わらず、隣で深々と頭を下げる。


「だから謝って済む問題じゃないって言ってるじゃない!どうしてくれるの!!」

「とりあえずタオルを…今日のお代は結構ですので」


そう言って船橋さんは持ってきたタオルを手渡す。

船橋さんのその態度に少し落ち着いたのだろう、お客さんは渋々だがタオルを受け取ったようだ。


「直ぐに新しい料理をご用意致します」


そう言って船橋さんは厨房へ走っていった。

残った私はようやく頭を上げた。


「あの…本当にすみませんでした……」

「ふんっ……次からは気をつけなさいよ」

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