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桜の夢

第21章 過去と今

その時だった。


「ねぇ、こっちの方って空き教室じゃない?」

「ちょうどいいじゃん。ここで勉強してこうよ」


廊下から声が聞こえた。

そしてそれに驚いたのか、私を羽交い締めにしている手が緩む。

これが多分最後のチャンス。

私はありったけの力を振り絞り、教室から逃げ出した。


「心愛、どこまででも追っかけるからね」


背中から蒼太の声が聞こえたが、私は無視して走り続けた。












その後、私は親に「先生と合わない」とか何とか言って塾を変えた。

だから、その後蒼太がどうなったのかは分からない。

少なくとも、私が誰にも話していないから、この件はばれていないだろう。

それから私は男子に必要以上に近づくのをやめた。

もう、あんな思いはしたくない。

そう思っていたのに…

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