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桜の夢

第3章 接点

「俺、戻るよ。じゃあね」


予鈴を聞くと誠司は自分の教室に戻っていった。

去り際に俺の肩を叩きつつ…。

上手くやれってか…。

そして、間瀬も自分の席に素直に戻っていく

―と思いきや


「まぁ頑張って」


と耳打ちしてきた。

これでも頑張ってるんですけど?!

こいつらにバレたのはやっぱしミスだよな…。

あぁもう!

どうすればいいんだよ!

そんな風にパニクってたせいで、思わず


「心愛」


と呼んでしまった。


やばい、振り返る!

もうこうなったら…。


「糸屑ついてる」

「えっ、あっ…ありがとう」


心愛はお礼を言って前に向き直る。

糸屑なんてついてないのに、思わず言ってしまった。

というか、触れてしまった。

心愛が前を向いてくれてよかった。

だって俺の顔、真っ赤だから。

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