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電話ボックス

第4章 四

僕は寒さに目を覚ました。

布団の中。

熱があるのか全身が火照っている。

寒い。

ベッドから起き上がり、ふらつく足でキッチンへと向かう。

冷蔵庫を開け、冷たい水を飲む。

汗をかいている。

何か嫌な夢を見たような気がする。

どんな夢だったかは思い出せない。

携帯が鳴った。

表示を見たとたん僕の体は凍りつく。

そこに示されていたのは昨日の晩にかかってきた番号。

電話は鳴り続けている。
恐怖に僕は動けない。

携帯を握りしめたまま僕は――。

電話が切れた。

体から力が抜けていく。
携帯を放り出す。

床に転がった携帯。

これは悪夢だ。

ホラー映画の世界だ。

こんなことが現実に起こるわけがない。

ひやりと首に冷たいものが触れた。

僕は叫ぶ。

…叫んだつもりだった。
声が出ない。

そしてあの声。

直接耳に届く声。

『逃がさない』

首に女の両手が回る。

締め付けられる。

僕は殺されるのか?

それともこれは夢の続きなのだろうか。

僕にはもうわからない。
何もわからない。

彼女が誰で、どうして僕なのかも。

締め付ける力が強くなる。

意識が薄れていく。

感覚もだ。

僕は死ぬ。

そう確信した。

そして意識を失った。

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