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S・受付嬢・25歳『らしさ』

第6章 S・OL・25歳『らしさ』(6)

別れの場所に近付く頃、車の中で流れた曲がどうしようもなく今の2人に合ってて2人で一緒に歌いました。


‐自分らしくいることってどういうことだろう?

「楽しく好きなように生きることだよ」

‐それだけじゃないよね?

「うん・・・。」

2人の生き方に対するその答えは結局出せませんでした。


イタミクのカズではない自分。
ちゃんと彼女に見せてあげられたかな。


帰り道、ずっと真っすぐと前を見ていた彼女。
その時なにを考え、その瞳になにを映していたのでしょうか。



待ち合わせた三宮駅。

車を停めても降りるのを少し躊躇う彼女。
彼女が嫌う「別れ」の瞬間。
カズの手は自然と彼女の頭を撫でていました。


‐それじゃぁまたいつか・・・

後に続くのは、
「また会おう」?
それとも「報告待ってるね」?

口にしたカズにもわからなくて。



人間の考えることなんて理路整然としてなくて当たり前。
矛盾。本音。葛藤。
いろんな想いが巡り巡ってどうしても伝えたかったこと、車を降りていく彼女に伝えることができませんでした・・・。


それでも、一緒に過ごした時間はムダじゃなかった、と。


「今すぐに答えが出たわけじゃないし、やっぱりまだ気持ちは半々で。
たぶんこれからも笑ったり泣いたりを繰り返すと思う…

それでも何か得られた気がするよ。

一年後、いや二年後かな…

『幸せ見つけたよ』ってあなたに笑って報告ができるように。
私の新しいスタートにできるように。

ホンマにありがとう。」



あの時言えなかった言葉はいつかきっと。


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サヨナラ サヨナラ
また笑って話せるその日まで
僕は僕らしくいるから

(ゆず『サヨナラバス』)
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