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雪月花

第3章 この気持ち

その瞬間気づく。

俺は流されているだけ。

人とずれないよう、周りに合わせているだけ。

佐野からのメールも、何か行動を起こす訳でもなしに、ただ消去するだけ。

それは周りに助けを求めない東城より、駄目な奴じゃないか?

東城は自ら動いて、1人で頑張っている。

だが、俺は合わせるだけで1人で動いてすらいない。

このイライラは、もしかして東城に対する嫉妬か?

もしくは自分に対するいらつきか?

だとしたら俺は馬鹿だ。

自らのイライラの理由を他人に押しつけるなんて…最悪だろ。


「ふざけんな…自分」

そう呟いて、俺は机に突っ伏す。

自分の考え、東城の考え、佐野の考え、誰かの考え…

何一つ明確じゃない。

心の中は、窓の外の冬空のように灰色だった。

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