雪月花
第5章 球技大会
「あの人、プレイ中は真剣なのに、点が入ったらすっごく嬉しそうに笑うよね」
東城は飛びっきりの笑顔で言った。
それを聞いた間瀬は「そんなん当たり前じゃ~んっ」と言いながら手洗いを済ませた。
そして2人とも、俺に気づかずに去っていった。
俺、そんなに笑っていたのか…?
てか、嬉しそうって…
「あの~すみません」
そんな風に自分の世界に行っていたもんだから、後ろから声をかけられてとても驚いてしまった。
「は、はい!」
「手洗い場、使わないならどいてもらえます?」
前を見ると、誰もいない手洗い場。
東城の言葉が嬉しすぎて、自分がどこにいるのかも忘れていた。
俺は後ろの人に「す、すみません!」と謝って、直ぐに顔を洗った。