南の龍
第14章 分からない
なぜ、その秘密を私だけに言うのか不思議だった。
我が姉ながらよく分からない。
すると、また襖がゆっくり開いた。
「何?忘れ物?」
私は、美晴が忘れ物をしたのかと思いそう声をかけた。
でも、襖の方から見えた顔はいつもと変わらぬ表情で立っている刻だった。
「げっ、」
私は、これまでにないくらい顔を歪めた。
「忘れ物はない」
「知ってるよ!てか、どーでもいいから私の部屋には入ってくるなよ!」
「なんでだ?」
「普通だよ!絶対私に近づくな!」
「無理だ」
刻はそう行って一歩づつ私に近づいてくる。
そして、私の前まで来て立ち止まった。