
南の龍
第5章 兄貴
「俺だ。入るぞ」
いや、だから俺だと伝わらないことを早く気付けよ。
私の返事を聞く前にドアが開いた。
返事聞かないんなら、いちいちノックすんじゃねぇよ。
と思う私は心が小さいんだろうか……。
「お前、入って良いって言ってねぇだろ!」
「そうか」
「あぁ!」
「……」
「で、なんだい刻くんよ」
「……」
「前のキスの件を謝りにきたのかい?なら早くその場に膝をついて私に謝罪しろ」
「……」
「……」
「……」
「私のファーストキスを奪った罪は重いぞ!ほんとは謝罪金……いや、慰謝料?を取りたいとこだか、今は兄から奪っ……貰った金があるから許してやる」
「……」
「……」
「……」
「ほんとの用件を聞いてやってもいいだろう」
