南の龍
第1章 南高
「大丈夫か?」
……頭。
頭ってとこは口に出さなかったけど顔に書いてるぜ中野君よ。
「うん、心配ご無用」
「心配しとかな美椰は何するか分からないけど」
「へっ。喧嘩上等だぜコノヤロー」
「おっ、やるか!?手加減せんぞ」
「おぉ、ノリいいじゃねぇかコノヤロー」
「コノヤローコノヤローうるせぇぞ。コノヤロー」
「コノヤローいうやつがコノヤローなんじゃコノヤロー」
「いい度胸じゃ─…」
バコッ!
私と中野の頭をひっぱたいたのは斜め前の席の“楠木”だった。
「“楠木”!何すんだ!」
私は、“楠木”に叫んだ。
今一度いう授業中である。
「おまっ、おれは木下だ!」
「……」
「お前はいつになったら俺の名前を覚えてくれるんだよ」
木下は目をどんどん伏せていく。
かなり落ち込んでいるみたいだ。
まぁ、こんなときに言えんのは
「「どんまい」」
おっ、中野と声がハモってしまったよ。
まぁ、こんくらいだよ言えんのは!